アレルギーを起こす食品2位は牛乳・乳製品
食物のアレルゲンとして2番目に多いのが「牛乳や乳製品」の牛乳タンパクである「カゼイン」です。このカゼインは鶏卵のタンパク質が熱に弱いタンパクであるのと違って、熱にとても強いという特徴を持っています。
加熱してもタンパク質の構造は殆ど変わらず、過熱しない状態と同様のアレルギーの起こしやすさを保っているから厄介です。卵は加熱すればアレルゲンでなくなるのに、乳製品は加熱してもアレルゲンのままなんです。
特定原材料として加工食品にはアレルギー表示が義務づけられています。しかし、名前に「乳」という文字の有無だけでは、牛乳アレルギーがあっても一概に食 べられるかどうかわかりません。間違ってアレルゲンを食べることなく、食べられる食品を増やすためには、食べられる食品と食べられない食品を正しく見分け る知識を持つことが必要です。
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発酵させてもカゼインの成分は殆ど変化しないから要注意
熱だけでなく発酵の場合も、カゼインの成分は分解されにくい。だからヨーグルトやチーズなどの発酵食品でも同じように注意が必要なのです。牛乳アレルギーだけでなく乳糖不耐症の場合も、牛乳が飲めないのでカルシウムは不足します。
ヨーロッパの土壌と違って、元々日本の台地にはカルシウムが少ないので、野菜や水からカルシウムを摂取することが殆どできません。それもあって日本人は絶対的にカルシウム不足なのです。大事なのは牛乳や乳製品以外のカルシウムの多い食品から摂取することです。
牛乳アレルギーの子供は甚だしいカルシウム不足
牛乳アレルギーのある子どものカルシウム摂取量は、牛乳アレルギーではない子どもと比較して50%程度だとの報告があります。この場合、必要なカルシウムを乳製品以外で効率的に十分にとるように毎日の食事の献立を上手く組み合わせて、日常的にカルシウムを摂取する習慣をつけましょう。
カルシウムの多い食品(100g当たりの量)
成人男子目標量:600mg/日 成人女子目標量:600mg/日
食品 | カルシウム含有量 | 食品 | カルシウム含有量 | 食品 | カルシウム含有量 |
桜えび | 690mg | 干しえび | 7,100mg | モロヘイヤ | 260mg |
しらす干し(半乾燥) | 520mg | 煮干し | 2,200mg | 大根の葉 | 220mg |
ししゃも | 350mg | 桜えびの素干し | 2,000mg | 小松菜 | 160mg |
いかなご | 500mg | パセリ | 290mg | みそ(豆みそ) | 150mg |
カルシウムの多い食品には、牛乳アレルギー用ミルク、煮干しなどの小魚類や青菜類、海藻、大豆製品などがあります。牛乳・乳製品にアレルギーがある場合には、手軽にカルシウムをとれるように、牛乳の代わりにアレルギー用ミルクを使用すしたり煮干しをふりかけにするなどの工夫をしましょう。
粉ミルクも飲んではいけません
一方、粉ミルクは牛乳由来のものがほとんどです。「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「はっ酵乳」などの加工食品には牛乳が含まれるため、牛乳アレルギーの方は食べてはいけません。
注意して欲しいのは名前に「乳」という文字がついていても、牛乳、乳製品とは関係がない原材料があります。たとえば、加工食品に利用される「乳化剤」「乳酸菌」「乳酸カルシウム」などは乳製品と誤解されやすいのですが、牛乳とは全く関係ありません。
牛乳アレルギー用ミルク利用上の注意
牛乳アレルギー用ミルク名 | 成分 | 含有 |
エレメンタルフォーミュラ(明治乳業) 420g 3,600円 |
乳糖 | - |
ビタミンK | ○ | |
タウリン | ○ | |
銅・亜鉛 | ○ | |
調乳濃度 | 17% | |
風味 | △ |
牛乳アレルギー用ミルク名 | 成分 | 含有 |
MA-mi(森永乳業) | 乳糖 | ± |
ビタミンK | ○ | |
タウリン | ○ | |
銅・亜鉛 | ○ | |
調乳濃度 | 14% | |
風味 | ○ |
乳児に牛乳アレルギーがある場合、母乳や調製粉乳の代わりとなる牛乳アレルギー用ミルクが便利です。しかし、製品により含まれるタンパク質の種類や分解度 がことなることには注意してください。
それだけでなく、ビオチンなどの欠乏症のリスクがあるので、子供の症状によって医師の指示のもとでの利用が大事です。牛乳(ミルク)アレルギー用ミルクは医師の指導のもとで正しく利用するようにしてください。
また、ミルクアレルギー用ミルクには独特の苦みやにおいがあるので、味覚が発達し始めると飲ませるのが難しい事もあります。