食品アレルギーの原因1位は鶏卵
鶏卵アレルギーだから鶏肉も食べられないと誤解されている方がいるでしょう。そして同じ「卵」といっても、魚卵アレルギーとも全く異なります。魚卵のアレルギーがあっても鶏卵のアレルギーは無いというのが普通です。
その理由は、たんぱく質にはアレルギーを起こしやすい構造と、そうでない構造があるからです。それに、たんぱく質の多い食物がアレルギーの原因になりやすいわけでもありません。
たとえば、キウイフルーツはたんぱく質が少量しか無いにもかかわらず、アレルギーの原因食物としての順位は全体で9番目前後とかなり上位です。これはキウイフルーツに、アレルギーを起こしやすい構造のたんぱく質が含まれているからだと考えられます。
原因の食物を加熱すれば大丈夫か?
原因となるアレルゲンン=たんぱく質は、強酸性およびアルカリ性の消化酵素にとても強く、非常に壊れにくい構造です。だから加熱したくらいではその構造は簡単には壊れません。
しかし、卵アレルギーの場合、生や半熟卵はアレルギーのため食べられなくても、加熱卵は食べられるという人は多いです。アレルギーが発症しないのは、卵のたんぱく質が加熱にもろい構造をしているため、加熱によって壊れたためです。こうしたことは鶏卵など一部の食品にのみある特徴です。なので多くの食物にとっては、加熱は低アレルゲン化の有効な方法ではありません。⇒低アレルゲン化する
アレルゲンの除去と栄養摂取
アレルゲンの除去をするときには、栄養不足や栄養の偏りが起きないようにする必要があります。だからアレルゲンの除去については、専門の医師としっかり相談して必要最小限にとどめないといけません。
例え鶏卵が食べられなくても、他の食品を組み合わせることで必要なタンパク質を摂取できます。
都合の良いことに、鶏卵はタンパク質が豊富で栄養価の高い食品であっても、子供の成長に欠かせなくて、しかも鶏卵でしか摂取できない栄養素はありません。だから、タンパク質については、肉や魚、大豆製品などでバランスの取れた食生活を送れば、お子さんの栄養面や成長面に問題が起こることはありません。幸いなことに鶏卵については加熱することで、アレルゲンが弱くなります。しかし、加熱した鶏卵が食べられたとしても、生卵や半熟卵には注意が必要なのは言うまでも無いことです。
アレルゲンとなる鶏卵のタンパク質
卵白に含まれるアレルゲンは「オボアルブミン」と「オボムコイド」というタンパク質です。このうちオボアルブミンは、加熱するとタンパク質の構造が変化してアレルゲンではなくなるのです。そうすると、鶏卵アレルギーでも主にオボアルブミンのアレルギーの場合には加熱をすれば鶏卵が食べられるということがあります。
マヨネーズ、マシュマロ、アイスクリームなどに使われている鶏卵は十分に加熱されていません。そのため加熱鶏卵が食べられても、気をつけてください。
学校給食をはじめとして多くの加工食品に鶏卵が含まれています。アレルギー表示は必ず確認しましょう。
その他、卵白には「リゾチーム」というタンパク質が含まれており、アレルゲンとなることが知られています。このリゾチームは市販の総合感冒薬などにも配合されているので、購入するときには必ず薬剤師に相談してください。