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遺伝子組み換え作物は、なぜ危険ですか?


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英国マクドナルドが遺伝子組み換え食材の使用を中止を発表しました。米マクドナルド社と言えば、ファーストフード業界の巨大企業です。そのマクドナルド社がイギリスの消費者の懸念に配慮して、イギリス国内にある同社の店舗で遺伝子操作された食材の使用を中止する決定を下しました。

イギリスに数十社ある食品チェーン店はマクドナルド社を除き遺伝子組み換え食品の使用中止を宣言しました。これまで色々な食品企業が使用中止を決めてきて、最後に残ったのがマクドナルド社だったということです。遺伝子組み換え食物の危険性の認識が広まり売れなくなってきたので、この決定になったのでしょう。

「われわれは仕入先と協力して、(遺伝子操作をされていない)食材だけで調理する方法を検討している」とマクドナルドのイギリス支社で広報担当を務めるマイク・ラブ氏は語る。「そういった食材を入手することは可能だが、われわれはこれを大量に必要とするため、常時確保できるかどうかが問題だ」

遺伝子組み換え食品は、ある種の遺伝子を別の種に移し替える(たとえば昆虫の遺伝子を野菜に組み込む)ことによって生産されたもので、目的は害虫や除草剤に強い種子や作物を作ることです。除草剤を撒いても枯れなければ、農作業の効率化が図れるからです。遺伝子組み換え食品と農薬という2重の危険が揃っているのです。

これで、ケンタッキー・フライド・チキン、ピザハット、バーガーキングを含むイギリス国内の大手ファーストフード・チェーンはほぼすべて、遺伝子組み換え食品の使用を中止することに同意したことになります。

ところで、日本国内のケンタッキー・フライド・チキン、ピザハット、バーガーキングは遺伝子組み換え食品を使っているのでしょうか。

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知らないで食べている日本の消費者

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上の画像のような遺伝子操作されたチキンを食べていると多くの人が言っていますが、これはデマです。エイプリールフールで新聞社が作った画像のようです。しかしユーモアのかけらも無いのでケンタッキーへの批判的な意味を込めているのでしょう。

日本国内で認められている遺伝子組み換え食品は大豆、とうもろこし、綿、菜種、ジャガイモ、テンサイの6品だけです。ケンタッキーの鶏肉は全て国内産を使っているので安心です。外国はともかく日本ではまだ安心できます。

遺伝子組み換え食材はかなり輸入されている

ただ、大豆やとうもろこし等々の遺伝子組み換え食材は、食品の一材料としては沢山輸入されているので安心はできません。年間約2000万トンが消費されています。ファミレスの多くが(全てではない)添加物まみれだけでなく、遺伝子組み換え食材を使った料理を出していることは間違いないでしょう。添加物と遺伝子組み換え食材で、仕入れを安くして安い価格で料理を提供するためです。

遺伝子組み換え食品が5%未満の場合や、原材料名表示で使用量が多い順位の4位以下については、表示義務がありません。また、しょうゆやみそ、お菓子など加工食品の多くは、表示の必要もありません。

遺伝子組み換え食物が悪い理由

自然界にない遺伝子をもつ品種が、外界の生態あるいは我々人間にとって100%安全なのかどうかが分からないから,懸念されています。自然が作り出したものではない遺伝子を持つ食物の遺伝子を体に入れて良いかどうかということです。

遺伝子組み換え食品を食べ続けると、がん・腫瘍、アレルギー、免疫病・膠原病のもとになるという研究結果があります。特に女性にはおすすめできませんし、子供には絶対に食べさせたくないものです。マウスでの実験で55.6%が奇形を生んだという研究結果もあります。

直ぐに危険があるというものではなく、将来的に何十年と経過したり、子供を産んだときに影響が無いかどうかわからないから、慎重な態度をとっているのです。問題ないと食べるのは自己責任ですから好きにすれば良いのでしょうが、生産の合理化のために作り出した、異常な生物を食べる気はしないというのが個人的な判断です。

また、次のような知見もあるので紹介します。ただ太田氏も最終的な判断はしていないし、生態系を壊す可能性についても全く見識はありません。これを読んで安心して組み換え食品を食べるのも各自の判断に任されています。

しかし食品中に大量に含まれるDNAはわれわれの細胞内DNAの中に入り込むだろうか? 答えはノーである。腸管はDNAのような巨大分子を吸収して体の中に取り込むことはできない。食品として食べられたDNAはすい臓の消化酵素のひとつである強力なDNA分解酵素によって腸管の中でバラバラにされ、個々のアデニン、グアニン、チミン、シトシンに分解されてしまう。

そうなれば単なる栄養素であり、吸収されて利用される。また人の腸管内に生息する各種の腸内細菌もDNA分解酵素を大量に分泌する。また、たとえ取り込まれたとしても血液にはDNA分解酵素が含まれていて、DNAの断片が体の中の生殖細胞などにたどり着くなどということはとてもできないし、細胞内に入ることもない。

これは食品に含まれるあらゆるDNAについて同じことである。したがって組換え遺伝子のDNAそれ自身が食べた人になにか悪いことをひき起こすことはありえない。

では組換えによって作物に導入された遺伝子からつくられる新しい蛋白は安全であろうか?これまでのところ組換え作物に用いられている遺伝子はそれぞれ細菌由来であり、いずれの細菌も自然界に昔から存在していてありふれたものであって食品にも付着し、人がはじめて出会った遺伝子ではない。そこからつくられる蛋白も、まったく新しい蛋白が遺伝子組換えによって地球上に出現したのではない。
遺伝子組換え食品の安全性
名古屋大学医学部細菌学講座 太田美智男

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