要介護状態の原因は老年症候群と閉じこもり
要介護状態になる原因がわからなければ、予防も改善もできないというお話になります。
不老不死に対する願望はいつの世もあることは理解できますし、実際に老化をゆっくりすすめる方法はあります。
ただ老化は避けられないことは事実ですね。その理由の説明に「DNAはその構造上細胞分裂の回数の限度が決められている」ということが事実としてあります。
どんなに健康に注意して長生きしても、寿命があるのは科学的に正しいことなので、生活習慣病を予防しつつ高齢期を生きていこうじゃありませんか。
ところで前回書いたように、生活習慣病の予防と介護予防とは違います。
少し古いデータですが、
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高齢者の死亡原因は
若いころからこのような死亡原因で死なないことが重要です。
ところが、
要介護状態(要支援・要介護)の原因
要介護の原因としてあがっているのは次のようなものです。
脳血管疾患が多いのは事実です、特に男性は女性の2倍になります。けれど脳血管障害の後遺症が重症だから寝たきりというわけではありません。
殆ど障害らしい障害のない脳血管障害の方も寝たきりになってしまうということが、寝たきりになる本質的な原因を示唆しています。
高齢による衰弱やその他というのは、殆ど「これといった病気が無い」という事を意味しています。
脳血管障害の%テージの3分の2が男性。女性はもともと女性ホルモンの作用で血管は弾力に富んだ丈夫な血管を持っています。
それはともかく、死亡原因と要介護(寝たきり)原因は大きく違うことがわかりますね。
次に男性と女性とで分けて原因をみてみましょう
65歳以上の男性・女性がそれぞれ要介護になった原因を調査した結果の数字とグラフ化したものを見てください。
これを見ると明らかですが、男性は脳卒中が元となって要介護状態になっている人が圧倒的に多い。実に女性の2倍以上です。生活習慣病の予防が寝たきり・要介護状態の原因と必ずしも一致していないと言いましたが、男性の脳血管障害に関しては予防が非常に大事だと言えます。
それに比べて女性は男性と比べて転倒・骨折や関節疾患が多いのが特徴です。骨粗鬆書や筋肉の衰えからくる変形性の膝関節症や、筋力低下などが要介護の原因になっていることが特徴です。認知症も男性の2倍になっています。
画像が少し傾いています。上は男性? それとも女性?
脳血管障害が多いのが、男性ですから上が男性です。
男性は脳血管疾患の予防が非常に重要ですし、女性は筋肉骨格系の衰弱が要介護(寝たきり)のきっかけになっています。
老年症候群(特に病気と言える程のものではない)と閉じこもり
老化が進行し、身体や精神的機能の低下した高齢者によく見られる、軽度認知障害、せん妄、転倒、褥瘡、誤飲、誤嚥、などはそのものは「病気」というよりも高齢者になることで起こりやすくなる病気以前の状態です。
こういう要因をまとめて「老年症候群」といいます。この老年症候群は上で述べてきた要介護状態になる原因と同じことです。
高齢者の生活を中心に見るという少し観点を変えているので、同じ中身の分類を変えて別の言葉で説明しているだけなのです。
「老年症候群」が起きてきたときに、年のせいだからといって「家に閉じこもってしまう」ことが寝たきり・認知症の直接の原因なのです。
[important] 老年症候群 → 閉じこもり → 寝たきり [/important]
老人ケアに関わっている人なら良く知っていることですが、「高齢者が家から出なくなったら寝たきりの前兆」なんですね。
だから、外に出かけるタイプの介護サービスを中心に利用します。
閉じこもらない生活が、生活の自立と寝たきりの予防となっているんです。
デイサービス、デイケアとは家に閉じこもらないという大きな意味を持っているんです。
外に出かけてほかの同じような障害を持った方と交流することは重要な意義があります。
その場では何でもかんでもやってあげるのではなくて、
本人の持つ機能・能力をなるべく生かすように援助することが最も重要となります。
心ある介護・リハビリ関係者は本人がなるべく生活の自立を図れるように援助しています。